● はるかな少し前、ここが湿原であった頃の水上生活者の住居跡?
「余話」はこれが最終稿。
野鳥関係の一部をfolderに移転させたが、それでもサイトのメモリーは95%を表示している。
いよいよ、自然林縦断の壮挙を目指して踏み出していくことになる。
先に述べたが、冬場のこの緑地の地面はやわらかい。
少しでも雨が降ると、ヌカッツとすべる。
雨の後はゴム長靴でないといけない。
通常、雨の後は数日おいて、地表から水分が消えるのを待つことになる。
この先が自然林である。

振り返ってみる。

下は最近、夏場のもので芝刈りがされた後の水路状態である。
水源から自然林方向を見ている。


しばらく歩くと、自然林入り口付近に「4ツ目」といわれているゲテモノが姿を現す。

前からみるとこんな感じ。
直径2.5mはありそうなジャバラの丸パイプ水路。
それもあったりあったりの4ケも。


ということは、この4つ目の先が本来の水源?
上に看板が見える。
拡大してみる。

● Parkwood International Golf Course:パークウッドゴルフ場
google mapでは「マスグレイブヒル・ゴルフコース」となっていますが、これは間違いです。
パークウッド・ゴルフコースです。

ゴルフ場に入り、右側に回ってみる。


ここに4つ目パイプがあり、その先には、パークウッドのゴルフ場が続く。
つまり、ビゲラ・ウオーターズ・クリークの本来の水源は、パークウッドゴルフ場のはるか向こうの突き当たりにあるはずになる。
といっても、今はない。
この辺は昔、低地の湿原であったらしい。
そこにナッパー・ロードという道路を敷設した。
ついでに、道路の南側には大量の土砂を入れて盛り土し、地表面をかさ上げしてゴルフ場に造り替えた。
その時点で、ビゲラ・クリークの水源はゴルフ場のどこかの地中に沈んでしまった。
この広大なゴルフ場に降る雨の量は半端ではない。
その水抜き先が4ツ目の見える自然林というわけである。
道路を造るついでに大土塁も造り、ここに大量の雨水を溜め込むようにした。
自然林から出ていく水路は大土塁をくぐる直径1.5mほどのコンクリート丸管1本。
それに対して流れこむのは直径2.5mほどの丸パイプ4本。
そのもたらす結果は明白である。
これから縦断しようとする自然林は、単なる自然林ではない。
普段は見えているが、時に丸々水中に没しているという壮絶な自然林なのである。
ということは、肺呼吸動物は数年に1回くらいの割合で、絶滅してしまうといういとも恐ろしいところなのである。
では、その自然林に踏み込んでみる。
冬場(6月から8月)は地面が水を含んで乾燥していないため、ここに来る人はあまりいない。
それでも、2,3日前に人が通っていれば草が倒れており、そこを伝わって進むことができる。


ときどき倒木が道をふさぐこともある。



見えてきたのが、朽ち欠けた橋。
誰かが二本丸太に桟を打って造ったのだろうと思うが、誰がということにになる。
とても一人でやる作業ではない。
こどもが面白半分にやる遊びでもない。
ちょっと大雨がふれば、水面下に沈むものである。
とすると誰が、なんのために。


冬場だとここで道は消える。
あとは膝まで生えた草をかき分けながら、水路を見失わないように、おそらく夏場ならこの辺にあるであろうと思われる小道の場所を求めつつ進むことになる。
冬場は薄暗い。
それに周囲は木々でおおわれ、何も目標はない。
もちろん、横から道路を通行する車両の音は聞こえてくるのだが、まんとなく孤絶したような、いたたまれないような気分になる。
ここは凹の底。
おそらくこれが影響しているのではないだろうか。
周囲と同じレベルなら、気分的に陽気さももちえるだろう。
が、地の底といった感覚が、その地の霊に引きずり込まれるのではないかという錯覚を持ってしまうことになるのではないだろうかと思う。

一瞬戻ろうかと思ったが、地の底といっても、せいぜいのところ10分も歩けば縁には出られる。
気を取り直し、藪をかき分けて進む。

橋があった。
朽ちてしまったものに代わって架け替えたものだろう。
ということは橋の向こうに何かがあるということだろう。
でなければ、架け替える必要などないはずだ。
渡ってみる。
しばらく行って見つけたのがこれ。
これ、何?
結構高い。
3m弱といったところか。

ここまでのものを、子どもたちが趣味で作るはずもない。
大人が作るにしても、相当な労力と費用がかかる。
何しろ3mほどはあるのだ。
一体これ、何に使う。
まさか、この上でキャンプをするわけでもあるまい。
ちなみに1カ月後にきてみたら、一部は崩落しはじめていた。

自然林を歩いていて気がつくのは、大きな木の幹に印がついていることだ。
もちろん、目線くらいなこともあるが、はるかに見上げる場所に、横にノコ目らしきものが水平に入っている。
おそらく、水位を記録したものだろう。
今、立っているところは、頭のさらに上まで水が上がってくるということだ。
今いる自分はドップリ水の下にいる、周りは水だらけ。
そういう想定をすると、何かここにいることが薄気味悪くなってくる。
少なくとも、この仮設物はその水面上に頭を出すように造られていることは確かだ。
何のために。
あちこち藪を書き分け歩き回ったが、水没する場所であるということは正直面白みに欠けるところでもある。
わずかのお花畑もないし、蝶が飛び回ることもない。
「花」なるもの爪の先ほどにもないのだ。
薄死の場所ように思える。
が、水没するということは、多大な栄養分を溜め込んでいる処とも考えられる。
先にあった丸太橋を渡って、手前側に戻ってくる。

自然林縦断まであとわずかというところで、けたたましい鳥の声に驚かされた。
一瞬、騒然とした雰囲気になった。
突然、あっちでこっちでである。
知らずに何らかの営巣地へ踏み込んようだ。


でかい。
羽を広げれば有に1mくらいはありそうだ。
羽をばたつかせ、鳴きわめいて威嚇する。
何の鳥だ。
イヤ、鳥ではない。
コウモリである。
コウモリのテリトリーに踏み込んだのである。


まあ、大きい。
まったくここは、半死の場所だ。
そうそうに退散する。
<つづく>
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