2009年12月2日水曜日

人もおだてりゃ空を飛ぶ その4


● 乗ってみたい!



 土曜日、日曜日の朝早く、散歩に出かけると空にフワリと流れているものがある。
 気球。
 なんとも優雅なものである。
 「人もおだてりゃ空を飛ぶ その4」は「
気球に乗る」というサブタイトルの予定でした。
 いわば
気球搭乗記を書くつもりだったのです。
 が、いまだ乗っておりません。
 「人もおだてりゃ空を飛ぶ」を書いてきて、自分はまったく飛ばないのはなんとももの悲しい。
 よって、気球に乗るぞ!、となったわけである。

 気球に熱気を吹き込む。
 すると、ジワジワとふくらみ初め、そしてゆっくりゆっくりと立ち上がっていく。
 少しづつ籠が地面から離れていく。
 その快感。
 でも、残念なことに、年内にその希望はかなえられそうにありません。
 そこで、乗るための知識をいろいろ集めて最終の一稿とさせていただきます。
 もちろん、乗るチャンスに出会ったら、気球搭乗記は書くつもりでいます。
 おそらく来年以降となるでしょうから、別のサイトになるかもしれません。

 気球には水素やヘリウムなど空気より軽い気体を使ったガス気球と、プロパンバーナーで空気を温めて浮かび上がらせる熱気球がある。
 気球ガスは自燃性が強く爆発の危険があるため、特別の場合を除いて人が搭乗できるようなものには使われない。
 よって、気球といえば熱気球となり、日本でも多くのレースが行われている。

 3日前のニュースがありました。

2009年11月29日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20091128-OYT8T01088.htm
熱気球で 琵琶湖横断


● 次々に飛び立つ熱気球(高島市で)

 「第33回熱気球琵琶湖横断」(実行委主催)が28日、高島市安曇川町で始まった。
 県内外の26チームが対岸の東近江市付近を目指して琵琶湖上空を渡った。
 飛行は天候に左右されるため、横断が実施されるのは2年ぶり。
 各チームとも直径約20メートルの色とりどりの熱気球に2、3人が搭乗し、午前6時50分頃から次々と飛び立ち、約30分の空中散歩を楽しんだ。
 離陸地点の近江白浜水泳場には、早朝から巨大な熱気球を写真に収めようと、大勢のアマチュアカメラマンらも詰めかけ、熱心にシャッターを切っていた。
 横断は29日もあり、近くの高島市立青柳小では午前8時から約2時間、体験搭乗会が開かれる予定。


 ここは観光地。
 観光用の空飛ぶものはいろいろある。
 主なところではヘリコプターとタイガーモスの軽飛行機。
 最近、赤い翼のタイガーモスは見かけなくなった。





 白い翼に変わってしまっているが、どうしたことだろう。
 でもこれ、エンジンがついている。
 ちょっと、この稿のイメージに合わない。
 エンジンのないものとなれば、グライダーか気球。
 グライダーは免許を取らないと乗れない。
 グライダー発着の場所でじっと見ていても、なかなか飛んでくれない。
 離陸するまではセスナに引っ張ってもらわないといけない。
 よってグライダーは小型飛行場にしかない。
 これはあくまで同好会のクラブ専用で、観光用のお手軽なものではない。
 だが気球なら、その気になれば、いともたやすく観光用に乗れる。
 ただ、朝早く起きて出かけるのが面倒で、ズルズルになっているだけ。

 もらったパンフレットがあります。


 




 もう1社あります。




 
 値段はどちらも同じようなもの。
 為替レートにあわせると、30分で1万6千円、1時間で2万円。
 となれば、どう考えても1時間乗りたいなとなる。
 はるか昔、十数年前にヘリに乗ったら20分で6,500円であった。
 いま、ヘリはどのくらいするものなのだろうか。
 この3倍の1時間なら2万円で、ほどほどかなとも思う。
 が、である。
 ジェットスターの期日券なら、その値段で日本への片道チケット($234::1万8千7百円)が手に入るのである。
 こちらは7,8時間かかる。
 その料金で、日本へ行かれるのである。

 飛行機とはお殿様が乗るものではなくなっている。
 夜間長距離バスと同じ程度のもの。
 ある処からある処までの「足」だということ。
 そう考えるとママチャリと同じレベルだということ。
 ママチャリは距離が短く、飛行機は長いだけ。
 構えるほどのものではなくなる。

 1時間2万円は結構な値段。
 ワインは4リッター1千円のカスクにし、ビーチの見える高級マンションに住んでみたいが、人気の悪い低所得者層の棟割長屋に居をさだめ、日本からもってきたポスト型の赤い貯金箱にチャリチャリーンのシルバーコイン(50セント、20セント、10セント、5セントの硬貨の総称)を溜め込み、ひたすら気球に乗ることを夢見ている。
 一杯のカケソバ風で書くとこうなるが。

 宇宙旅行3泊4日が確か2億円とかで、すでに数十人の予約が入っているとか。
 アメリカの元実業家だったご老人がロシアの宇宙船で初めて宇宙旅行者になった時が、記憶はあいまいであるが6億円ほどではなかったかと思う。
 宇宙飛行士と宇宙旅行者は違う。
 旅行者は飛行訓練などいらない。
 乗ってみたいと思ったら、やっぱり乗ってみたいものなのである。
 もちろん貯金箱にコインを落としただけでは一生乗れないが。

 でも、考えてみればそうでもない。
 我がご幼少のみぎりでは飛行機に乗って外国へ行くなんて、一生有り得ないこと思っていた。
 が、昨今飛行機は夜行バスと同じレベルになってしまった。
 とすれば、今どきの子どもが貯金箱にお金を貯めていけば、老人になる頃には誰でも気楽に宇宙旅行ができるようになるかもしれない。
 ちなみに先日、国際宇宙ステーションに行ったH2ロケットが、また打ち上げられた。
 今度は北朝鮮の軍事施設を数十センチ規模で解析できるカメラを積んだ偵察衛星を軌道に載せるためにである。
 この打ち上げ使われた費用は65億円。
 値段はどんどん下がっていくだろう。

 ヘリからみるこの街は実に緑豊かなきれいな街であった。
 ヘリだとあっという間に通りすぎる。
 じっくり見ることができない。
 これではつまらない。
 ヘリで壮観だったのは、エアーズロック。
 こいつはすごかった。
 なにしろデカイ。
 ヘリは飛んでいるのだが、ゆっくりゆっくりとエアーズロックが流れていく。
 よって、その岩肌のシワまで観察できるほど。
 ありゃ、まわりから車で眺めるものではない。
 金を出しても空から見学するものだと思った。
 でないと、エアーズロックのものすごさは捉えられない。
 人生観の端っこの一部がクルリと変わる、そんな感覚さえもつほど。

 
● そのときのエアーズロック

 つまり、気球に乗ってゆっくりと、ふわふわと空に浮いてみたいな、と思うのである。


 まずは熱気球の構造を「熱気球のページ」から援用させていただきます。
 このページは実際の知識を得るのに非常に参照になります。
 一通り読まれることをお勧めします。


熱気球のページ
http://mugiwara.jp/Balloon/



 「球皮」はみての通り中に空気が入っている部分です。
 「ゴンドラ」は人が乗ったり、物を積み込みます。
 「バーナー」を焚いて球皮内の空気を熱します。
 「スクープ」で風を受けて、効率的に球皮内を熱することが出来ます。
 「リップライン」を引くことで、球皮最頂部のパネルが開いて(つまり弁構造になっているのです)、熱気を逃がして浮力を減じ、上昇を止めたり、降下を行います。



 次は概要等をWikipediaより。

 熱気球は、球皮(エンベロープ)と呼ばれる袋の中の空気を下部に取り付けたバーナー等で熱し、外気との比重の違いにより発生する浮力により上昇する。
 乗員は通常球皮の下に取り付けられたゴンドラ(バスケット)に乗る。
 一部ハーネス等でパラグライダーのように吊った状態で飛行する物もある。

 バーナーからの熱の調整による上昇、下降のみ可能であり、風のほかに飛行船のような自力の推進力は持たない。
 風の向きと強さは高度によって異なるため、進みたい方向の風を見つけて高度を調節する。
 熱気球の上部には中の空気を抜くための弁がある。
 弁には各種構造があるが、一般的なものではパラシュートと呼ばれる円形に縫製された布によって内圧で塞がれている。
 排気を行う場合は排気弁、通常リップラインと呼ばれる紐を引く事によってパラシュートを引き下げ、排気する。
排気弁には本来大きく分けて2種類の名称がある。
ダンプとリップである。ダンプは上空で飛行中使用することを目的とし、リップは最終排気を行うための物である。
 前述のパラシュート形式の弁の場合、この両方の機能を併せ持っているために操作索はリップラインと呼ばれる。

 熱源となるバーナーの燃料はLPGを使用しており、飛行時間にもよるが、一度のフライトで一般家庭が使用する約1~2ヶ月分のLPGを消費する。
 その他にも特殊フライトをする機体では別の燃料を使用する事例もある。

 球皮(エンベロープ)は熱気球において最も巨大な部分。
 飛行しない時は全ての空気が抜かれ、ゴンドラに収まるくらいにコンパクトになる。
 飛行時はインフレーターと呼ばれる強力な送風機で冷気を球皮内に入れ、ある程度膨らんだところでバーナーを使用し、熱気を入れる。
 材質は主にポリウレタン気密コーティングされたナイロンやポリエステルで出来ており、荷重を受ける部分はナイロンやポリエステルのテープにより補強されている。
 これらは主にポリエステル等の糸で縫製されている。耐熱性を要する場所はノメックス等の糸で縫製される。

 また、バーナーの近く(開口部周辺)は耐熱性を高めるためにアラミド繊維のノメックスやコーネックス、ノボロイド繊維のカイノールなどで耐熱性を高めた物もある。
 飛行するごとに気密コーティングや素材の強度が劣化していく。
 素材により異なるが通算約200~600時間、飛行することができる。

 バーナーは球皮内に熱気を入れるための器具。
 近代的熱気球のバーナーはバーナーに備えた熱交換コイルで液体プロパンを加熱し、一気に蒸気に変えて爆発的に燃焼させ高い出力を得られるような構造を採用している。
 家庭用コンロのように気化されたガスを直接使用するものではない。
 燃焼時には大きな音と共に大きな炎が放出される。
 基本的にバーナーには2系統のシステムを持っており、1系統が上空で故障しても安全に飛行できるように設計されている。


サーモグラフィーによる熱分布画像

 ゴンドラは人が乗り、燃料を搭載する部分である。
 ゴンドラ(バスケット)とバーナーはステンレス製のワイヤーによって接続されたり、アルミやステンレスのフレームにより接続される。
 通常ゴンドラが籐を編んで作られているのでバスケットと呼ばれる事も多い。
 補強のためにワイヤー、アルミパイプなどが編み込まれている。
 底部は籐で編み込む構造の物とマリングレードのプライウッドなどを使用する物がある。
 構造の主体に籐素材を使用するのは、フレキシブルな構造なので着陸時の衝撃を吸収できるためである。
 バスケットの上部ヘリなどは乗員に優しいようにパットや皮素材などで保護されている場合が多い。
 そのサイズは平面で1m四方程度から2mX3mぐらいの大きな物など、搭乗人員にあわせて様々なサイズがあるが、一般的な3人ぐらい搭乗するものは1mX1.2mぐらいのサイズのものが多い。


ゴンドラ(横倒し状態)


 次は「熱気球のページ」から素朴な質問を。

【いつ飛ぶの?】
熱気球にとって都合のよい時間帯は、早朝ないしは日没前の大気の状態が安定している時です。
 日中はサーマル(熱気泡)という上昇気流が発生し、不安定になりますのでフライトには適しません。

【どの程度の高さまで上がれるの?】
基本的にバーナーを焚き続ければどこまでも上がれます。(燃料の量や球皮の耐熱温度は無視すれば、ですよ(^^; )
という答えではなんなんで、、、、一般的なフライトではだいたい 3000フィート(1,000m)くらいいったら高い方ではないでしょうか。
琵琶湖横断やアルプス横断といった、多少とも冒険がかったフライトではそれ以上いきますし、大会などでどうしても使いたい風がある場合にもやはりそれ以上あがることもありますけれど。

【どうやって方向を変えるの?】
熱気球に舵・推進装置はありません
 したがって能動的な操作が可能なのはバーナーを焚いて上昇するか、リップラインを引いたり何もせずに自然冷却することで球皮内温度を下げて下降するかのどちらか、つまり上下の動きのみです。
普通、高さによって風の吹いている方向は異なります
 したがって、行きたい方向の風の吹いている高さに、熱気球をもっていき、そのままその高さを維持すればよいわけです。(ちなみに一定の高さを維持しながら飛ぶことをレベルフライトと呼びます)
とはいえ、いい方向の風ばかりでもないし、そもそも行きたい方向の風がない場合もあり、さらには風の吹く方向というのは知っての通り経時的に変化しますのでパイロットは常に臨機応変に対応する必要があります。
 「降りた場所がねらった場所」というコトバもあります(笑 (決して「ねらった場所に降りた」ではないところがミソ)
どの高さにどの向きの風があるのか、というのはフライト前にヘリウム風船をあげて様子を見たり、他の気球の動きをチェックしたり、雲や煙突の煙をみるなどして、判断することもあります。
 もちろん経験やカンも重要な要素です。



 最後はビデオになります。
 これ、多い。
 まず、離陸


熱気球を膨らます、そして離陸
http://www.youtube.com/watch?v=B5SNgMoMyTs&feature=related

Hot Air Balloon take off
http://www.youtube.com/watch?v=pKvvY_3ed-I&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=1yaSBlLfuT0&feature=related


 そして着陸。
 これは降りたところが着陸地点になるといういい加減なもの。
 最後のものはこれはプロ級です。


Hot Air Balloon landing
http://www.youtube.com/watch?v=W_nHn6JoSoo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=OP6c4kTn228&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=y88xq1wGVjQ&feature=related


 おもしろビデオを拾ってみます。


佐賀2008:バルーン会場はワンダーランド 
http://www.youtube.com/watch?v=7nZkv7C_H9Y&feature=related

佐賀2008:No.4
http://www.youtube.com/watch?v=EL1GDQh5Lp4&feature=related

佐賀2007
http://www.youtube.com/watch?v=DLJVQCjZaFg&feature=related


Reno Balloon Race 2006
http://www.youtube.com/watch?v=zyyCcjbrWOM&feature=related


 これだけ知識を集めればそこそこ搭乗気分が高揚することでしょう。
 では、気球に乗れることを楽しみに!




 <おわり>





25today 2009年12月26日
http://www.25today.com/news/2009/12/qld_210.php
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QLD、熱気球不時着 送電線引っ掛ける
 12月26日、QLD州で熱気球が電線を引っ掛け、地上に不時着する事故があった。
 同日午前8時頃、州南東部の町ボーデザートに近いビッダッダバで、17人を載せた熱気球がクリーク・ロード沿いの電線を引っ掛け、地上に衝突した。
 緊急救助局のスポークスウーマン発表によると、乗員のうち4人が背中や首筋の痛みを訴えたため、1人が近隣のボーデザート病院に運ばれ、3人がローガン病院に運ばれた。
 スポークスウーマンは、「いずれも負傷の程度は軽傷とされている」と発表している。
 この事故のため、警察が出動した他、電力会社Energexの保線係員も安全のため現場を点検した。
 Energexのスポークスウーマンは、「事故現場周辺地域の配電に支障は起きておらず、また、電線も切れていないが、電線に損害がなかったかどうか係員が安全点検をしている」と発表している。(AAP)


 野鳥余話 [home]




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街中飛行体:熱気球>


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