2009年8月3日月曜日

人もおだてりゃ空を飛ぶ その2





● 人もおだてりゃ空を飛ぶ



 鳥人間は人間飛行機である。
 ペダルを漕いでプロペラを廻す。

 ただ、気流だけで飛ぶ者もいる。
 いわば「翼人間」。
 ハンググライダー[
hang glider]。

 レイバーデイ(勤労感謝の日)に、久しぶりに山(Tanborine Mountain:タンボリン・マウンテン)へ行ってみた。
 といっても30分ほど。
 山頂付近の道の左右に列をつくって車が止まっている。
 なんと、ポリスまで出動している。
 なんで、こんな山奥に。



 でも、つかまえるのは「オジさんライダー」のみ。
 先般、オジさんライダー同士の抗争があったのです。
 暴走族とくれば若者たちを連想するが、ここの暴走族は「オジさん」たち。
 「バイキーズ」と呼ぶ。



 なぜ、オジさんが暴走族をやっているのか。

25today.com
社会 - 2009年3月23日
バイキーズ、空港乱闘で死傷者
http://www.25today.com/news/2009/03/post_3260.php
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シドニー西部では住宅乱射事件続発
 オーストラリアの組織犯罪と言えばバイキーズ。
  艶消し黒塗りのハーレー・ダビッドソンに黒の革ジャンパー、艶消し黒のヘルメットという典型的な「ヘルス・エンジェルズ」風いでたちが思い浮かぶ。
 グループの名称も「バンディドス」、「レベルズ」、「ノーマッズ」、「コマンチェロ」など、いかにもという感じだ。
 表向きはオートバイ同好会だが、裏では日本のヤクザと同じことをしている。
 3月22日午後1時30分頃、シドニー空港国内線ターミナルのカンタス到着ロビーで飛行機から降りてきた男グループを他の男グループが襲撃、乱闘は2階の出発エリアに移動した。
 乱闘で、グループの一人(29)が、乗客の列の仕切に使われている鉄柱で頭を繰り返し殴られ、救急車でプリンス・オブ・ウェールズ病院に収容されたが、同日中に死亡した。
 乱闘グループのほとんどがタクシーなどで逃げ去ったが、21歳から25歳までの4人の男が逮捕され、乱闘罪で起訴された。
 シドニー首都圏では、新興グループのノーマッズが勢力拡張を図って、在来勢力と抗争を続けており、シドニー西のピーターシャムでバイキーズ事務所が爆破されたり、首都圏西部一帯で走っている車から住宅に向けて銃を乱射、あるいはメンバーが処刑スタイルで殺害されるなどの事件が頻発しており、最近バイキーズが非合法化されたSA州同様の法律を望む声が高まっている。
 また、同日午前1時頃に、首都圏西部のオーバーンの3つの道路で7戸の住宅に銃弾が撃ち込まれる事件が起きた。
18歳と17歳の少年が負傷、警察は車2台を押収したが、住宅は狙われたものではなく、車の乗員同士の銃撃戦で流れ弾を受けたものと見ている。(AAP)




政治 - 2009年3月27日 呉越同舟の反バイキーズ取締法
http://www.25today.com/news/2009/03/post_3273.php

政治 - 2009年3月29日 NSW政府「バイキー取締法」の概要を発表
http://www.25today.com/news/2009/03/post_3260.php

社会 - 2009年3月30日  バイキー・クラブ抗争続く
http://www.25today.com/news/2009/03/post_3281.php
 
政治 - 2009年4月03日  NSW、バイキーズ根絶立法一挙成立
http://www.25today.com/news/2009/04/nsw_257.php

社会 - 2009年4月12日 バイキー抗争、檻の中に拡大
http://www.25today.com/news/2009/04/post_3328.php

 てな具合で、ポリスが総動員をかけてバイキーの押さえ込みに入ったということです。

 ここはハンググライダーの場所で、バイクサーキットではない。
 バイキーは空は飛ばない。
 飛ぶのはライダー。

(そういえば、モトグランプリでは今年、ケーシー・ストナーの調子が悪い。
 バレンテイーノ・ロッシーが頑張っている。
 もう歳だろうに、よくやる。
 -----どちらも知らない!。
 ええ、知らなくていいのです、たいした問題ではありませんから)


 もうすぐ冬なのにやっているのだろうか。
 夏場の休日なら、ここは鳥人間・翼人間のメッカ。
 空を見上げれば色鮮やかなハンググライダーが数十機舞っていることもある。
 車を降りて空を見上げてみる。
 オー、飛んでいる。
 十機ほど。
 この寒空のなかを。
 冬場あるいはそれに近い頃にハンググライダーを見たのは今回がはじめて。
 さほどに今年は暖かいというこということであろう。
 もちろん、お正月の寒空、ウエットスーツに身を包んだサーファーが湘南海岸で波の初乗りを楽しんでいますので、好きな者にとって寒さはチャレンジのいい刺激材なのかもしれませんが。
 
 ここは観光局のホームページにも出ています。
 載せておきましょう。

ゴールドコースト観光局ヒンターランド
http://www.verygc.jp/recommend/hinterland.html

Altitude Windsports
アルティチュード・ウインドスポーツ
鳥の視点でゴールドコーストのヒンターランドを見下ろしてみませんか。
エキサイティングな冒険なのに気軽に出来るハンググライダーを体験。
マウント・タンボリンもしくはビーチモントのロジン見晴台より出発する初心者用タンデム飛行はおおよそ15~20分間です。
器具を装着し、飛行前のオリエンテーションから着地点引き上げまで約2時間です。


 
Cloud Base Productions
クラウド・ベース・プロダクション
クラウド・ベース・プロダクションのタンデム・ハンググライディングは、体験飛行というよりもむしろ、地元のハンググライダー・コミュニティの一員になった気分を味わえます。
オーストラリア・ハンググライディング協会認定のインストラクターが、フライト体験の全般をお世話します。
状況により飛行時間は8分~20分と異なります。



 観光ビデオはこちら。
 後ろの方にハンググライダーがあります。

YouTube - Australia: Sunshine Coast, Brisbane, Byron Bay and ...
http://www.youtube.com/watch?v=nvahb3lVwN4



 では、じっくり観察する。




























 ライダーが定位置につく。
 係員がくる。
 周囲の状況を観察して、安全を確かめる。
 「go」のサインを出して、係員が離れる。
 風その他のタイミングを見計らう。
 グライダーを持ち上げる。
 そして、走りだす。
 ものの2,3歩。
 あっという間に翼人間に変身してしまう。
 ぐるりと回りこんでくる。
 2,3回巡って、そして、上昇気流にのってグングンと。

 この写真、肝心の足が大地を離れるところが写っていない。
 ポケットカメラの悲しさ。
 シャッターを押したあと、すぐに次のシャッターが押せないのです。
 ロックがかかって、シャッターが下がらない。
 一呼吸おいてやっとシャッターが切れる。
 その間、翼ははるか向こうに飛び立ってしまっている。

 Wikipediaから離陸の部分を抜き出してみます。


テイクオフ(離陸) :
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 テイクオフに適した場所は、斜面(丘陵や雪のない季節のスキーゲレンデなど)・崖(ランチャー台が設置されることもある)など。
 斜面の場合はグライダーの滑空比よりもきつい傾斜が、崖の場合には短い助走距離で安定した滑空に入れる程度の強めの風が必要になる。

ランチャー台の例(愛知県五井山)

 パイロットはハーネスを装着して体をグライダーと接続し、ダウンチューブの間に入ってグライダーを両手両肩で持ち上げバランスをとる。
 適度な向い風に合わせてバランスを保ちながら助走するとグライダーが揚力を得て浮こうとする。
 
更に加速しつつ走り続けると、やがてパイロットを吊り下げるベルトがピンと張ってグライダーにパイロットの体重が掛かるようになる。



 この状態でさらに走り続けるとパイロットの足も地面から離れて、グライダーは滑空に入る。
この間数秒、走る距離は数メートルである。

 テイクオフするとパイロットは体をうつぶせに寝かせ、ダウンチューブを握っていた手をベースバーに持ち替える。
 足をハーネスの中に収納してファスナーで閉じる。
 この姿勢で空気抵抗を低減して飛行する。


 離陸のときと、それに失敗したビデオを載せておきます。

ハンググライダー
http://www.youtube.com/watch?v=w2GjH6Q_zXU&feature=related

Hang Glider Faceplants On Takeoff Video
http://www.break.com/index/hanglider-faceplants-after-takeoff.html


 浮いた後で失敗したケース実際に見たことがある。
 トントンといき、スーとグライダーが浮いた。
 2,3秒ほどたったら、大きく左に旋回し始めた。
 ライダーが立て直そうと必死になっている。
 が、ダメ。
 そのまま左側の立ち木のテッペンに衝突。
 翌日の新聞に木にひっかかったグライダーの写真が載っていた。
 インタービューではライダーが「私のミスだ」と言い切っていた。
 見ていて分かっていたが、飛び出しはよかったのだ。
 通常ならグライダーが安定してから、ハーネス(背中に負っているようなミノムシ袋)の中に体を入れることになる。
 このとき、ライダーは飛び出した状態ですぐに左足を曲げ、ハーネスにいれようとした。
 ために左手に力が入り、グライダーのアームを強く押した。
 グライダーは左にかしぎ、旋回状態にはいった。
 ライダーは立て直そうとしたが、足がハーネスにひっかかったまま、バランスを崩し立ち木に激突。
 ちなみに怪我はなかったそうですが、グライダーの補修に30万円ほどかかると新聞には書いてあった。

 これは運のいいほう。
 死亡記事も見受けられる。

ベテランハンググライダー、練習中での死の悲劇
Experienced hang-glider dies in training tragedy October 12, 2007 - 2:33PM
http://www.brisbanetimes.com.au/news/queensland/experienced-hangglider-dies-in-training-tragedy/2007/10/12/1191696147997.html



 次は着陸について。
 Wikipediaより。

ランディング(着陸):
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[アプローチ]

 動力を持たないグライダーは、着陸をやり直すことができないし、着陸場所は十分な広さを持たない場合が多い。
 現在の高度と着陸場所からの距離がうまくあっていないと、着陸場所を通り越して先にある障害物に当たったり、着陸場所にとどかずに手前の危険な場所に下りなければならなくなったりする。
 また、着陸場所には風下から進入するようにすると、同じ対気速度を維持して(=同じ揚力を得る)も対地速度が小さくなるので着陸時の安全性が増す。
 うまく高度をあわせて風下から着陸するために、着陸場所の風下側で8の字旋回をするなどの種々の高度処理方法が採られる。

[フレアー]
 着陸場所にたどり着いたら、速度を落として安全に止まらなければならない。
 コントロールバーを徐々に前に押し出していくことで、徐々に速度を落としてゆくが、ある速度より低速になると機体は急激に揚力を失って墜落する(失速現象)。
 そこで、失速の直前にコントロールバーの押し出しを急激に強めると、機体は急激に機首を上げたまま高度も変えずにその場で静止する(フレアー操作)。
 このときの高度が、ちょうどパイロットの足が地面に着く程度であれば、そのまま安全に着陸できるわけで、そのようにするためにうまくアプローチするわけである。


 着陸のビデオはこちら。


ハンググライダーランデイング[忍野2007/09/03]
http://www.youtube.com/watch?v=P7YrK4RLuHk&feature=related

ハンググライダーのランデイング
http://www.youtube.com/watch?v=0hLUd7Q2AdY&feature=fvw

グライダー着陸にちと失敗編
http://www.youtube.com/watch?v=WKITd8zH_zQ



  Wikipedia には詳細な解説が載っていますので参考のためにコピーしておきます。


 ハンググライダーは趣味、競技で行うスカイスポーツであり、また飛行に使用する機体自体を指す。
 搭乗者がベルトに吊り下がった(hang)状態でグライダー(glider)に乗り滑空することから、ハング・グライダー(hang glider)と呼ばれる。
 また連続した"ng"と"g"の音が重なる英語の原音により近いハングライダーの発音・表記もある(これが誤って逆類推され、つり下がるライダーとしてhang rider のように表記されることもあるが、このような語は存在しない)。

 同様に滑空を楽しむものには、グライダーや、パラシュートが進化したようなパラグライダーがある。

 機体は軽く20 kgから45 kg程度で、人間一人の力で持ち上げることができる。
 搭乗者はベルトなどで機体の重心付近に繋がれる。

 搭乗者は機体を持ち上げたまま斜面を駆け下りる。
 機体の滑空比が斜面の傾斜より浅いため、5m程度の助走で離陸する。
 上昇気流を利用しながら飛行を楽しんで、(多くの場合は)山の麓に用意してある着陸場に着陸する。
 巡航速度は20km/hから130km/h程度。
 滑空比は7から25程度。
 着陸のときは速度をぎりぎりまで落として、フレアー操作(後述)とともに足から降りて、グライダーは搭乗者が自力で保持する。

機体は折りたたみ式のものが多く、直径50cm・長さ5mほどの棒状になる。通常は乗用車の屋根に積んで運搬する。

 航空法上は資格は不要だが、多くのフライトエリアでは(社団法人)日本ハング・パラグライディング連盟発行のライセンスの携行及びフライヤー登録を義務付けている。
 ハンググライダーは、構造によってクラス1からクラス5に分類されている。

 グライダー はアルミニウム合金やカーボンファイバー製のパイプでできた骨組みに、ポリエステル系の合成繊維でできた翼(セール)が張られる。
 翼型(翼断面形状)はバテン(アルミ合金の細いパイプ)により維持される。
 要所にワイヤを張って強度を保持する。

 中心から下に向けて、コントロールバーというものが取り付けられている。
 アルミ合金のパイプを三角形に組んだもので、楽器のトライアングルのような形をしている。
 一辺1.5メートル程度の大きさで、底辺に当たる部分をベースバー、斜辺に当たる部位をダウンチューブ(アップライト)と区別することもある。
 パイロットはこの三角形の内側に吊り下げられて飛行する。

 グライダーは、そのまま投げれば紙飛行機のようにまっすぐ飛んでゆくほど安定に作られている。
 一般的なダブルサーフェイス機の翼断面(略)

 ハーネスは搭乗者(パイロット)をグライダーと繋ぐための物で、体の一部あるいは全部を布で覆うようになっている。
 背中部分から、グライダーと繋ぐためのベルトが伸びている。
 ハーネスとグライダーはカラビナで接続される。
 ハーネスには緊急時に備えてリザーブパラシュートが収納されている。

 計器 は
* 速度計
* バリオメータ(昇降計)
* GPS
* 無線機

 グライダーの重心付近に吊り下げられたパイロットのそばには、グライダーに直結したコントロールバーがあり、パイロットはコントロールバーを押したり引いたりして、グライダーとの位置関係を腕の長さ程度の範囲で変えられる。
 グライダーよりもパイロットのほうが重いためにグライダーの方が姿勢を変えることになり、速度の変化や旋回などが広範囲に行える。

 パイロットがコントロールバーを前に押し出すようにすると、パイロットの重心が機体後方に移動するので機体は機首を上げ、翼の迎角が増加する。
 その結果、機体は滑空速度を落とす。
 逆にコントロールバーを手前に引くようにすると機首を下げて滑空速度が増す。

 コントロールバーを左に送り出す(体を右に寄せる)ようにすると、機体は右翼を下げ、右旋回を始める。

 テイクオフとランディングは共に危険が伴うので、念入りな練習が必要とされる。



 次の、テイクオフを。





























 


 ハンググライダーのビデオはひじょうにたくさんあります。
 その中から。

ハンググライダー:BIGLOBE動画検索

http://movie1.search.biglobe.ne.jp/search?kw=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC

Hang Gliding - Fly like an eagle
http://www.clipser.com/watch_video/135468

Hang Gliding fun
http://www.clipser.com/watch_video/135467&mvpageno=1

Airsports.tv-Hang glidi
http://www.clipser.com/watch_video/1146434&mvpageno=1



 風洞が示すように、今日は裾から山頂に向かい風の、ハンググライダーに絶好の風が吹いている。
 ときにまるで風がないときがある。
 10分待っても、20分待っても、グライダーはとばない。
 とすると、お客さんは帰ってしまう。
 でもライダーは気長に風を待っている。
 今日は、次から次へと順番待ちである。














 たまらんでしょうな。
 一度味をしめたら、病みつきになるのでは。


 <つづく>



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